明治と味の素がタッグを組んで健康×環境を考える!サスティナブルな酪農ってなんだ?

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株式会社明治(以下、明治)は27日、事業の根幹である牛乳・乳製品の原材料を支える酪農業における温室効果ガスの排出量削減をテーマとする発表会「サステナブルな酪農へ~酪農における脱炭素化を推進~」を開催しました。

発表会ではまず、明治が日本国内で初めて牛乳生産に関わる「カーボンフットプリント(CFP)」算定を検討し、酪農家の実データに基づき実際の商品におけるCFPの算定に着手したことを発表しました。

また、明治グループ、味の素株式会社が協業し、飼料中のアミノ酸バランスを改善することで削減したGHG排出量をクレジット化し、酪農家の新たな収入源に変えていくという「J-クレジット制度を活用したビジネスモデル」についても発表しました。さらに、農林水産省、味の素株式会社、酪農家とともに、4者それぞれの立場からGHG排出量削減に向けた問題提起と対策の紹介がありました。

発表会は三部構成で実施され、第一部では農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ長の久保牧衣子氏から環境と調和のとれた食料システムの確立に向けて、技術的なイノベーションが必要であることとともに、調達、生産、加工・流通、消費それぞれの段階において、環境負荷低減の取り組みへの関係者の理解が進み、行動変容に結びつくことが不可欠であるという点が訴えられました。また、農林水産省では「みどりの食料システム戦略」に基づき、環境負荷低減の「見える化」やカーボン・クレジット等の施策によりこれらの取り組みを促進しているという説明がありました。

●農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ長・久保牧衣子氏「みどりの食料システム戦略とGHG排出量削減の重要性について」

我が国の食品・農林水産業は、おいしくて高品質な食品・農林水産物を消費者に届けており、国内はもとより海外でも高く評価されています。一方で、生産現場では生産者の減少や高齢化、新型コロナを契機としたサプライチェーンの混乱、地球温暖化に伴う気候変動や自然災害の増加などさまざまな問題を抱えています。

この問題に対応し、調達、生産、加工・流通、消費を通じたサプライチェーン全体で、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための政策方針として、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」が策定されました。また、その実現を担保するために、基本理念や関係者の役割の明確化、国が講ずべき施策等を定めたみどりの食料システム法が2022年7月に施行されました。これに基づき、国は基本方針を定め、都道府県は基本計画の策定を進めており、環境負荷低減に資する技術の提供等を行う事業者の国による認定も進んでいます。

みどりの食料システム戦略の課題の1つであるGHG排出量の削減に向けて、消費者の選択を容易にするための生産者の環境負荷低減の努力の「見える化」の推進や、農林水産漁業者等の収入にもつながる農林水産分野におけるカーボン・クレジットの推進、生産・流通・小売サイドと消費サイド双方の理解を進め行動変容につなげる「あふの環2030プロジェクト」の運営など多岐にわたる取り組みを実施しています。

第二部では、株式会社明治の代表取締役社長・松田克也氏より、酪農のサステナビリティとその実現に向けた考え方や将来のビジョンの説明がありました。続いて、明治ホールディングス株式会社の取締役専務執行役員CSO・古田純氏より「明治グループにおける酪農のサステナビリティに向けた取り組み」を説明しました。さらに、味の素株式会社執行役常務の前田純男氏が「『アミノ酸バランス改善飼料によるGHG排出量削減の推進』と『J-クレジット制度を活用したビジネスモデル』」について詳説しました。

●株式会社 明治 代表取締役社長・松田克也氏「酪農のサステナビリティとその実現に向けた明治の考え方や将来ビジョン
~サプライチェーンの持続可能性のために~」

昨今の大きな社会問題である「地球温暖化」は、人間の産業活動によって排出されたGHGが主な原因物質ですが、私ども乳業メーカーにおいては生乳の調達、工場での牛乳・乳製品の生産、製品の配送などの事業活動の中でGHGが排出されます。

当社が着目している社会課題の一つが、酪農業におけるGHG排出量の削減です。酪農は私たち人間に豊富な栄養をもたらし、多くの雇用を生み出す一方で、牛のゲップや糞尿に由来するGHGが地球温暖化に影響を及ぼすという課題を抱えています。

安定的に高品質な牛乳・乳製品をお客さまにお届けし続けるためには、酪農現場におけるGHG排出量の削減に向けて取り組む必要があります。その実現に向けて、実際のGHG排出量の算定や、酪農家を含めたサプライチェーンの持続可能性向上につながる削減方法の実装が求められます。

そこで、当社では酪農家や関係業界と一体となり、この大きな課題の解決に向けて、チャレンジすることとしました。食卓に当たり前のようにある牛乳が、これからも皆さまの笑顔あふれる生活に寄り添えるよう邁進していきます。

●明治ホールディングス株式会社取締役専務執行役員CSO・古田純氏「明治グループにおける酪農のサステナビリティに向けた取り組み ~実データに基づくCFP算定とJ-クレジット活用を柱に~」

2022年に「みどりの食料システム法」が成立・施行され、日本政府はもちろんのこと、サプライチェーン全体で酪農業界をサポートしていくのは必然だと明治では考えています。

明治グループにおける「原材料を含む購入した製品やサービスに関わるGHG排出量(Scope3-カテゴリ1)」は、228.4万㌧と、自社以外のサプライチェーンから排出されるGHG排出量の中でも非常に高い構成比となっています。牛乳・乳製品を多く製造し販売する明治では、酪農業におけるGHG排出量削減は具体的に取り組むべき最優先課題であると認識しています。

そこで、明治では「実データに基づく牛乳のカーボンフットプリント算定」「味の素株式会社と協業しアミノ酸バランス改善飼料により糞尿から発生する一酸化二窒素削減の推進と、J-クレジットを活用したビジネスモデルの運用」の2つの取り組みを開始しました。

●味の素株式会社執行役常務アミノサイエンス事業本部長・前田純男氏「『アミノ酸バランス改善飼料によるGHG削減の推進』と『J-クレジット制度を活用したビジネスモデル』」

味の素グループは創業以来、アミノ酸の働きで食と健康の課題解決に取り組んでいます。動物栄養の分野でも同様で、乳牛用飼料では天然原料では不足しがちなアミノ酸のリジンを効率的に摂取できるような技術を構築してまいりました。

乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」は弊社独自の製造技術により、通常では牛の小腸まで届きにくいアミノ酸を体内に効果的に栄養として届けられます。この「AjiPro®-L」を活用して高たんぱくながら高コストで、余分なアミノ酸も多く含む大豆粕などの飼料を減らしながら、不足するアミノ酸を補いバランスを整えることができます。

その結果、乳量を維持しながら飼料コストを削減すると同時に、糞尿から発生する余剰な窒素を削減し、N2Oを削減することが可能となります。また、今回この「AjiPro®-L」を用いたGHG排出量削減の取り組みの経済的な価値を創出するため、J-クレジット制度を活用した新たなビジネスモデルを明治グループの皆様と協業し構築します。

将来的には、様々な企業・団体とも連携し、「AjiPro®-L」の使用により削減した費用の、メタン削減製剤の購入への充当等、新たなGHG削減策を農家のコスト負担を増やさず導入し、より大きなGHG削減を目指します。酪農・畜産業におけるサステナビリティの実現において、弊社が単独ではやれることには限界があり、明治グループの皆様と共に力を合わせ、酪農・畜産業の発展に微力ながら私どもも貢献したいと考えています。

第三部では、明治グループ、味の素株式会社、農林水産省の3者に加え、このたび明治グループ、味の素株式会社とともに「J-クレジット制度を活用したビジネスモデル」に着手した北海道・根室市の酪農家、有限会社北翔農場代表取締役の佐藤幸男氏を迎えたパネルディスカッションを行い、「GHG排出量削減に向けた今回の取り組みについて」「酪農の脱炭素化に向けて」という2つのテーマについて議論がかわされました。そして、日本の酪農は、困難な状況にあるが、GHG排出量削減をなおざりにすることはできない。そのためには、酪農家の意識改革も必要だが、新たなイノベーションと乳業メーカーをはじめとした関係業界、関係機関が一体となった支援が不可欠である。さらに消費者も日々口にしている牛乳・乳製品がどのように生産されているかをもう一度考えてもらいたいという要望がまとめとして出されました。

パネルディスカッションの模様は2023年4月27日(木)24:00までご覧いただけます。

●今後の取り組み
政府は2050年のカーボンニュートラルの実現を表明しています。酪農業においてもGHG排出量削減は喫緊の課題といえます。一方で、GHG排出量の実態把握の難しさや、削減方法の実装の課題などから、酪農分野の具体的なGHG排出量削減への取り組みはまだ限定的といえます。

『すでに自社の力で削減が可能な分野であるScope1・Scope2において「工場の生産性向上など省エネの推進」「自社での太陽光発電の導入」「再生可能エネルギーの利用」など、ロードマップの公表と削減に向けた取り組みを進めています。一方で、Scope3にあたる酪農業全体での取り組みには多くの可能性もあれば課題もあります。

本日発表した取り組みはもとより、酪農の大きな課題である呼気メタンの削減に向けた取り組み、土壌に着目したカーボンファーミングなど、さまざまな角度から酪農家と一体となり、削減への努力を続けていきます。
明治では、こうした取り組みが、日本の酪農・乳業界全体のGHG排出量削減を進め、サステナブルな酪農の実現に向けた後押しとなり、食卓に当たり前のようにある牛乳・乳製品をこれからも変わらずにお届けできるよう、ミルクサプライチェーン全体で取り組んでいきたいと考えています』

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