気になるお口の嫌なにおい…口臭抑制効果があるのはスプレー? ガム? タブレット? 現役歯科衛生士が実証検査!/後編

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ここでは、前回に引き続き、現役歯科衛生士が実証検査をした研究レポートを、編集部がまとめた記事をお届けします。お口の中や、歯をウェルビーイングな環境に変えてくれる、とても興味深いレポートを前編、後編の2回に分けて小特集。今回はさらに「唾液の重要性」についても迫ります。

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ガムの中でもチューインガムが口臭を抑制する効果が強い理由は…?

前編の最後で述べたように、今回の実証検査ではニンニクを食べた後、ガム・タブレット・スプレーそれぞれの口臭抑制効果を測定。そして、その結果1回目の検査、2回目の検査の両方で、一番口臭を抑制する効果が強かったのは「ガム」という結果になりました。また、チューインガムに甜茶抽出物、または甜茶抽出物とペルオキシダーゼを配合したところ、ペルオキシダーゼ配合による消臭増強効果が認められたと述べている文献があります。

ペルオキシダーゼには口臭を抑制する効果があり、唾液にもその抑制効果が含まれていることから、チューインガムを「咀嚼」することで唾液分泌が促進され、さらにチューインガムという形状が、より口臭を抑制する効果を増強してくれると考えられています。口臭ケアにはしっかりと口と歯を動かして噛む、ということが大事なのかもしれません。

タブレットも口臭の抑制に効果的!? ガムと同じくその理由を予測してみた!

ガムと同様にタブレットにおいても、スプレータイプと比べてお口の中にいる時間が長いので、唾液から出るペルオキシダーゼが酵素反応を起こして、それが消臭効果に繋がっていると考察されています。以上の事から、口臭を抑制する効果は、お口の中に滞在する時間、そして唾液の分泌量が大きく関係していると予測しました。

ガムやタブレットに頼って「におい」だけを気にしていてはダメ!

今回レポートされている実証検査は、あくまでもニンニクに対する口臭を抑制するものであり、食品全般に言えることではありません。また、あくまで一時的な口臭を抑制するものであり、根本的な解決とは言えません。ガムやタブレットは、口臭を抑制するためのサポート手段に過ぎず、根本的に口臭を抑制、なくすためには毎日の「お口のケア」がもっとも大切です。

「口臭」の原因はお口の中だけではないことも。自己判断せず定期的な検診を!

「口臭」は歯や口内の疾患の問題だけでなく、身体全身の疾患の問題にも繋がっていると考えられています。口臭の原因を、単なる嫌なにおいと自己判断してはいけません。もし自分の口臭が気になるという方は、ガムやタブレットでただ口臭を一時的に抑えようとするのではなく、その原因を把握するためにも、歯科医院や病院での定期的な検診が推奨されます。

「唾液」の役割を知り、口の働きが私たちの生活の下支えになっていることを意識!

唾液は「咀嚼」や「嚥下」といった食事時のみならず、「滑舌」「発音」といった発話においても大きな役割を果たしています。つまり「食べる」「飲む」、そして「話す」といった「お口の行動」すべてに、唾液は関与しています。それはすなわち「味覚」だけでなく、五感全てにも影響していると言えるでしょう。

特に「咀嚼」は認知症の予防、「嚥下」は誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
また、「唾液」は風邪の予防にも大きく関連、つまり「唾液」をきちんと認識してその効果を知ることで、新型コロナウィルス感染症対策にも繋がることが期待されます。

だからこそ、もう一度繰り返しますが、歯科医院での定期検診こそが重要です。それは虫歯予防や歯の管理だけでなく、お口の定期検診が身体全体の疾患、そして認知症の予防にまで繋がるからです。

【参考文献】(前編、後編とも)
●Global Healthy Thinking Report/SUNSTAR Group
●白井健雄ら、各種口臭消臭剤について/歯科医学第67巻第1号136〜147ページ,2004
●高垣奈保ら、甜茶抽出物とペルオキシターゼの組み合わせによる酵素的消臭効果/日本食品科学工学会誌第62巻第8号409〜416ページ,2015
●口臭とその低減対策、大平辰郎、口臭とその低減対策、におい誌第44巻第4号229ページ,2013

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