サステナビリティが香る。新しい革のカタチ
環境問題への意識が高まり、サステナブルな暮らしを志向する人が増えています。日々の生活の中で、私たちにできることは何か? その問いに対する、一つの答えとなりうる革新的な素材が誕生しました。 滋賀県大津市のレザー小物ブランド「STATUSY(ステータシー)」が開発した「コーヒーヴィーガンレザー」です。
日本で年間約40万トンも発生する、使用済みコーヒー豆やコーヒーかす。その多くは依然として焼却処分されているのが現状です。STATUSYは、この廃棄されるコーヒー豆に着目し、独自の技術でサステナブルなヴィーガンレザーを生み出しました。

コーヒーの香りは、地球への愛。革新素材誕生の裏側
STATUSYが開発したコーヒーヴィーガンレザーは、廃棄されるコーヒー豆や抽出後のコーヒーかすを超微粒に粉砕し、合成皮革の主成分である石油の一部に置き換えることで、石油の使用量と食品廃棄物を同時に削減することを目指した革新的な新素材です。2022年に開発に成功し、現在、日本国内と台湾で特許を取得しています。
さらに、コーヒーという固有の成分によるものか、京都の研究機関で実施された消臭、抗菌テストでは非常に高い効果が認められました。海外では、サボテンやキノコ、パイナップルなど、廃棄される食物原料を活用したヴィーガンレザーが普及しつつありますが、コーヒー豆を使用したヴィーガンレザーは世界でも非常に珍しく、大きな注目を集めています。
アスリートの願いから生まれた、機能美あふれる長財布
コーヒーヴィーガンレザーの魅力を最大限に引き出した製品として誕生したのが、「コーヒー豆からできた長財布」です。革新的素材の開発だけにとどまらず、その機能性にも徹底的にこだわりました。開発のヒントになったのは、あるアスリートとの出会いでした。 2022年4月、パラ水泳選手として活躍する一ノ瀬メイさんがSTATUSY本社を訪れた際、生まれつき右腕が人よりも短い先天性右前腕欠損症のため、ファスナーやボタンタイプのお財布が使いにくいと話しました。

「私が使いやすいと思える財布は、きっと世の中の多くの人にとっても使いやすい財布だと思います」
その言葉に感銘を受けた代表の田中氏は、彼女が心から使いやすいと感じる財布の開発を決意。試行錯誤の末、片手で簡単に開閉できる「天溝口金(てんみぞくちがね)」という金具を採用した長財布を完成させました。

ミニマルデザインと収納力を両立。常識を覆す、新時代の長財布
コーヒーヴィーガンレザーと天溝口金。この2つの要素だけでも十分魅力的ですが、STATUSYはさらに、長財布のサイズ感にもこだわりました。代表であり、デザイナーでもある田中氏は、天溝口金を、一万円札がぎりぎり収納できる限界のサイズに特注。長財布といえば大きくてたくさん入るものという常識を覆し、キャッシュレス時代に対応する、極限までの薄さと小ささを追求しました。

その結果、大きめのスマートフォンとほぼ同じサイズという、驚くほどコンパクトな長財布が誕生しました。小さいながらも、小銭、紙幣、カードを収納できる、優れた収納力を実現しました。

環境にも人にも優しい選択を。未来を拓く、コーヒーの香り
この革新的な長財布は、応援購入サイト「Makuake」で2024年7月29日から発売開始され、わずか2週間で1,000万円以上の購入額を集めるなど、大きな話題を呼んでいます。サステナブルな商品が必ずしも購買に繋がらない国内の現状で、この短期間での成功は、商品の魅力を如実に物語っていると言えるでしょう。
Makuakeでの販売価格は、第一期、第二期生産分が完売となり、現在は第三期生産分の予約販売を受け付けています。価格は18,700円(税込・送料込)。参考小売価格は22,000円(税込)となっています。
特許取得の新素材「コーヒーヴィーガンレザー」、一ノ瀬メイさんの願いから生まれた使いやすさ、そして、トレンドと理想を融合させた製品作りへのこだわり。STATUSYの「コーヒー豆からできた長財布」は、サステナビリティ、機能性、デザイン性のすべてを兼ね備え、消費者の心を捉えています。
毎日の暮らしの中で手に取るものから、環境への負荷を減らし、持続可能な社会の実現に貢献したい。そんな想いを抱く人にとって、コーヒーヴィーガンレザーの製品は、未来への希望を感じさせる、魅力的な選択肢となるでしょう。